『マンガでわかる最強の貯蓄術』タイトルに偽りなしかも

『マンガでわかる最強の貯蓄術』表紙

楽天マガジンで読めるのは、一般的な雑誌だけではありません。
雑誌の増刊というか、いわゆるムックも配信されているようです。
今回読んだのもそんな一冊。エイ出版社の実用ムックです。

といっても、正直言って聞いた覚えがない出版社だなぁと思って調べてみたところ、以前読んだ『趣味の文具箱』はここから出ていたものでした。失礼しました。

あらゆる趣味の雑誌、本を発行し、新しいライフスタイルを提案する

をモットーに、車やバイク、釣り、湘南スタイル、つくばスタイル…などのいい意味でマニアックな雑誌やムックを出しているそうです。

私は車やバイク関係のコーナーに足を向けませんし、関東圏のエリア情報誌はなかなかこちらでは見かけないでしょうから、今まで目にすることがなかったのかもしれません。

楽天マガジンには、『湘南スタイル』などもラインナップされていますので、いつかこのエリアに住みたいなと思う人にも役に立ちそうですね。
情報が、それを必要としている人のところに簡単に届く、というのは素晴らしいことだと思います。

昔だったら、そういう雑誌が発刊されていることをそもそも知らなかったり、知ってても本屋さんに取次ぎをお願いしたり、編集部に定期購読を申し込んだりする必要があったと思うのですが、そういう方法だとちょっとハードルが高いですからね。本当に便利になりました。

問題は、「情報格差」が生じていることだとは感じます。
シニア世代でも、生き生きとスマホやパソコンを駆使してネットで様々な活動をする人もいれば、「難しそうだから」、「わからないから」と尻込みをしてテレビと新聞だけを見ている人に、くっきり分かれてしまうのではないかと思います。

勝手なイメージですが、前者は毎日楽しく時間を過ごしている印象があるのに対し、後者は少し精神的に老化が進みそうな感じを受けます。

もちろん、ネットオンチだとしても、他に打ち込める趣味がある人は、若々しくいられると思いますから、一概にネットにつながることを推奨するわけではありませんが、何か気になったことや興味を持ったものについて、自分で、その場で、その瞬間に調べることができるというのは、これから人生を生きていくうえで、非常に大きな力になると思うのです。

とはいえ、ネットで見つけた情報の真偽や正誤を見極める能力も、一緒に磨いていくことを忘れてはいけませんが。

『マンガでわかる最強の貯蓄術』目次

一冊まるごと読めます。情報誌ですから、これは嬉しい。

『最強の貯蓄術』目次1 『最強の貯蓄術』目次2 『最強の貯蓄術』目次3 『最強の貯蓄術』目次4

年代別ライフプランの具体例がすごい

さて、前置きが長くなりましたが、この『マンガでわかる最強の貯蓄術』は読んで損はない一冊でした。
女性読者に向けた、基本的な貯蓄や投資の解説をする類書は何冊も読んできましたが、年代別のモデルケースが60代以降にまで及んでいるものは初めてです。
大体が20代から50代、そこで止まってしまっているんですよね。

ですが、これから本当に必要になるのはその先、60代以降を無理せず、心穏やかに生きていくための準備とそのための知識だと思います。
定年が65歳、年金の受け取りはさらに先送りになるという状況で、50代までのガイドしかないというのは少し心許ない。
私は常々そう思っていました。

もちろん、社会情勢や暮らし向きというのは少しずつ変化していきます。ですから、その時々に応じて新しい知識を得る努力をする必要はあると思いますが、一度、ライフステージ全体を見通しておいたほうが、絶対に後々のためになるはずです。

その意味において、本書の内容は素晴らしいものでした。

イントロダクションで「貯金の必要性、大切さ」が語られた後、マンガ形式で20代の会社員の生活ぶりと、これから気を付けるべきポイントの概要が語られます。

何しろマンガですから気楽に読めるのがいいところ。そして、このテの本ではよくあることながら、主人公はどこにでもいそうで、かつ、ちょっとおカネに対してはズボラというか、危機感がない性格で、読者が感情移入しやすいタイプです。

けれども周囲にはしっかり者の家族や友人がいて、主人公をフォローしてくれたり、どこからともなく現れるおカネの達人にアドバイスをもらったりすることで成長していく、という、あぁ、そうだ、成長物語なんですね、この一連のフローは。なるほど。

面白かったのが、主人公・金尾(旧姓・財野)キリコさんの物語中には旦那さんがリストラに遭う、娘がミュージカル俳優になるため専門学校への進学を表明する、など微妙にあり得るエピソードが入っていたところです。

入門書という位置づけの本では、一般論に終始することがほとんどで、なかなかこういうケースは取り上げにくいと思うのですが、このムックは類書から一歩先に踏み込んでいるという印象を強く持ちました。素晴らしい。

それぞれの年代別マンガパートの後には、それに対応する情報パートが続き、金利の話、光熱費の節約、クレジットカードの活用法、保険の選び方、医療費控除やNISAなど、通常「お金の本」で取り上げられる事柄がまんべんなく取り上げられています。

私が特に凄いと感じたのは、簡単ながらリバースモーゲージの仕組みについても触れた項目があったところです。現在のところ、あまり見かけたことのないトピックですので、新しい情報が掲載されている判断しても良さそうですね。

マンガの主人公は会社員ですが、自営業やパートタイマーの場合のフォローもきちんとあります。
つまり、しっかり頭に入るかどうかは別として、大体誰にとっても基本となる知識は盛り込まれていると思われます。

そして、先にも書いた通り、本書に掲載されているライフプラン、つまりキリコさんの人生を描いたマンガは彼女が60代になるまで続いている、と。
いくらおおまかなストーリーとはいえ、ひとりの人が20代から60代に至るまでの物語を読むというのは結構充実感を覚えるものです。大げさな言い方ですが、大河ドラマ的な読み応えもなきにしもあらず。

実は当初読み始めたときは、コミックの画風になじめず、“うわー、もう少し画力のあるマンガ家を起用できなかったのかなー”などと感じていました。ぶっちゃけ、これよりうまい人はそれこそ星の数ほどいるはず。

ですが、読んでいくうちに“うーん、これはこれでアリかな。生々しい話を変に美麗な絵で読むのもどうかと思うし”なんて具合にマンガの絵柄自体についての評価も上方修正です。

面白いと感じたら、印象なんてこんなに簡単に変わってしまうものなのか、と自分で自分に呆れるという面白い体験もさせてもらいました。

特に50代以降で心がけたいことのあれこれ

まだ50代には間がありますが、この辺りの世代にとって必要な知識は薄かったので、しっかり読みました。

まず、「保険の見直し」。資産形成に向く終身保険を選ぶといいとのことです。ジブラルタ生命、メットライフ生命、マニュライフ生命の三社のホームページアドレスが記載されていました。
いわゆる外資系の保険会社なのでしょうか。逆に言えば、なじみ深い日本の生命保険ではカバーしきれない部分をカバーしてくれる可能性があるということですね。今度チェックしてみます。

次に節税対策。自宅の改修にも控除が適用される場合があることは初耳でした。また、医療費控除については対象になる品目について具体的に記載されています。

さらに60代に入ってからは「相続対策をしっかり準備しておく」、「生前贈与の際に気をつけること」が挙げられていました。
まだそこまでは辿り着けませんが、「しなくてはいけない」ことを知っているだけでもずいぶん違うと思います。

『マンガでわかる最強の貯蓄術』感想とまとめ

面白かったです。シンプルに読んでよかったと感じました。
そして、読んだことを活かしてこれから先の備えをしたいと思います。

でもねぇ、正直言ってアレね、スマホのゲームにうつつを抜かしてるようじゃ、老後の備えどころじゃないのよね。
それはわかってる。わかってるんだけどぉぉぉ。

ともかく、老後と呼ばれる年代に達してからも、有益な情報はしっかりキャッチできるように心がけたいと思いました。
そして、それを誰かとシェアできるようであれば、ますますハッピーですね。

2018.8.1配信開始//2018.9.30配信停止

 




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