『dancyu』ボリュームに欠ける昼めし特集【2018.8月号】

『dancyu』2018.8月号表紙

以前からの愛読誌です、これ。
とはいえ、特集によっては食指が動かないこともあるので、図書館で読んで済ませることもありました。

カテゴリーとしては、とにかく一冊まるごと美味しいもので埋め尽くされた素敵な雑誌、ということになります。どちらかというと男性誌。私の頭の中の本棚だと、『サライ』とか『日経おとなのOFF』あたりと並べる感じですね。

美味しいお店を探す、食べ歩きの趣味に役立つのは当たり前。
自分で美味しいものが作れるよう、懇切丁寧かつ時に革新的なレシピを紹介するのも当たり前。
素材の生産者に迫り、フード&ドリンクのイベントを開くこともある。
掲載されている読み物も、全部食べ物がらみ。たとえ映画の紹介であろうとも。

でも、私が一番気に入っているのは、マニアックといえばまだ聞こえはいいですが、一歩間違うと偏執狂のレベルにまで踏み込んでしまいそうな熱の入れよう。

たとえば「たまご」特集のとき。ベストなたまごかけごはんを追求すべく、ごはんの温度、しょうゆの量や種類、プラスワンのトッピングアイテム、黄身だけもしくは白身だけ、などなど微に入り細を穿って検証を重ねました。

それ以外のたまご料理も、名店の卵とじそばのように地味ながら技が光るもの、料理家が紹介するトリュフの香りを移したオムレツなど、一筋縄ではいかないものが勢ぞろいです。

「パスタ」のときもそうです。パスタを茹でる時のお湯の量、塩の量や時間という基本から見直し、茹でる際に何かを加えてみたらどうか、ソースとの和え方は、提供する際に最適な温度は…ともう大変なことになっていました。

思えば「コーヒー」特集のときに、ネルドリップ用のフィルターを制作するための型紙がついていたことも、かなりおかしかったと言えましょう。(もちろん布地の選び方から始まる作り方も載っていました。)

おかしい。
この雑誌、よくよく考えるとかなりおかしいです。
でもそこがいい。
そう思う読者も多いのでしょう。今年12月には、創刊28周年を迎える長寿雑誌です。

『dancyu』2018.8月号目次

前置きが長くなりましたが、そんなdancyuの今月号の目次はこちら

『dancyu』2018.8月号目次2

「本気の昼めし」。恐ろしいですね。
食べるということに対して、いつも過剰なまでの本気を見せるdancyuが、あえて「本気」という言葉を選んだことがすでに恐ろしい。

『テニスの王子様』で喩えるのなら、四天宝寺の石田銀が「ワシの波動球は108式まであるぞ」と明らかにした時のような、絶望感にも似た何かを感じます。
自分でも何を言っているのかわからなくなってきました。続けましょう。

そして第二特集が「餃子好きが行き着くところ」、と。なるほど。
私はあまり餃子(ひき肉料理全般)が好きではないこともあり、このラインナップだと、雑誌版の購入は見送るところです。
ですが、定額式の電子書籍だと何の気兼ねもなくダウンロード決定。ブラボー。

第1特集●「本気の昼めし」

のっけから「これは美味しいでしょ!」というビジュアルの焼き魚定食が一面に広がって始まる特集。
家庭的な煮込みハンバーグ、白米と玄米ハーフ&ハーフで食べる銀だら粕漬け定食、イワシの天ぷら定食とミックスフライ定食のコンボと続き、知らず知らずのうちに「あー、どれにしようかな」と迷ってしまう始末。

最近、美味しい魚料理や揚げ物と無縁ですもん。私は料理の本を読むのは大好きですが、実践はまったくしないというダメっぷりですから。

と、喜んで読んでいたのですが、なんだかちょっとヘン?
急にリズムが途切れた感じがしたので、ノンブルを確認すると33ページから57ページまで一気に飛んでいました。そう来たか。

電子版の弱点

実は電子版の雑誌にはいくつか制限がある可能性があり、読めない箇所が存在するというのもそのひとつです。そのことは前もって知っていましたが、こうして目の当たりにするとちょっとがっかりですね。

ちなみに、今号の電子版と雑誌のページ数を比較してみると、雑誌が168ページに対し電子版は88ページ。もちろん削られたページには広告も含まれてはいるわけですが、半分くらいのボリュームになっています。

第1特集の「本気の昼めし」は大項目と中項目が二つずつ、小項目とトピックも二つずつに分類されますが、大項目「最高の定食」の四分の一、「昼しか食べられない美味」の半分と、小項目はまるごとアウト。

中項目の「休日に最高の焼きそばを」は私がいつも呆れ半分感嘆半分で読む実験&レシピ記事ですが、これももしかしたら最後の方がカットされているのでは? という具合。

おまけにギフトカタログ案内とか、dancyuのレシピ本などの広告はあるのに、コラム類はだいぶ割愛されています。うーん、思った以上にショックかも。
とは言え、美味しそうな写真で目の保養はできたし、本来なら購入しない号だろうしと考えると、これもありですね。

さて、エディターズノートのページに次号予告が載っていました。
第1特集:夏の鮨 第2特集:北海道の旨いもの
あ、多分こっちは買いですわ。
と、いうことで今号は以上。

でも、一つだけ書き残しておきたい。
東京・中目黒の「御飯家」さんの煮込みハンバーグ定食紹介記事にて

…今回、去り際は「いってきます」と言った。

という表現がされていたけれど、それが許されるのはメイド喫茶か執事喫茶だけだと思います。

※2018.6.6配信//2018.12.6配信停止

 




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