『日経おとなのOFF』名画来日ラッシュに備える特集【2018.7月号】

『日経おとなのOFF』2018.7月号表紙

以前から、特集によっては購読してきた『日経おとなのOFF』。
好きな特集は美術系、豪華列車系と料理系です。
実際に、特集記事を参考にして美術展の観賞旅行に出掛けたこともありました。

日経ストアの解説によると、この雑誌のコンセプトは以下のとおり。

「日経おとなのOFF」は、最前線で活躍するビジネスマンが仕事から離れた時間をより豊かにするための情報誌です。ビジネスマンの明日の活力源になる情報をお届けします。

楽天マガジンでのカテゴリー分けも「男性ライフスタイル」になっていますので、当ブログでもそれに従いますが、女性読者も多いのではないかと思われます。

今号は美術展特集で、私のストライクゾーンど真ん中ですね。
それでは早速目次のご紹介から。

『日経おとなのOFF』2018.7月号目次

この夏・秋にかけて、空前の名画・名品ラッシュだそうですよ。

 

ですが、目次のページと掲載内容を照らし合わせると、電子版にはない記事もそこそこあるようで残念。
『見仏記』シリーズが好きだったので、みうらじゅん&いとうせいこうの運慶快慶解説記事は読みたいところでしたが、まぁ仕方がないですね。

Special 1●2018夏&秋 絶対見るべき名画・名品77

美術のサマーセミナーという体裁で、フェルメールにムンク、ミケランジェロ、エッシャーと縄文土器・土偶を大きく取り上げ、そこに生物学者や精神科医の分析を加えた記事が目玉です。

偶然にも、つい先日、冒頭の「フェルメールは科学者だった」という記事を寄稿している福岡伸一氏の著作『芸術と科学のあいだ』を読んだところ。
この本にもフェルメールと「顕微鏡の父」と言われるレーウェンフックとの親交の可能性が述べられていたのを覚えています。

フェルメールは、ある意味で科学者……むしろ写真家のような存在なのではないかという説ですが、私も基本的に絵画と彫刻の本質は時間をとどめる欲求にあるという感覚を持っています。

描かれているものが実際にある光景だろうと、想像上のものであろうと、画家や彫刻家が「その瞬間を残すことに意義がある」と感じたからこそ生まれたのではないかと。芸術かどうかは、まずは二の次なのでは? と。

逆に言えば、今現在、私のライティングデスクの上にのっている小さなメンタームの缶、これだって私が写真に撮ったとすると、何らかの意味が付加されるのではないかなぁ。
美しいかどうか、共感する人が多いかどうかで、芸術かそうでないかが決まるというか。
有名な話ですが、ゴッホの絵にしても、評価する人が大勢出てくる前はただの絵でした。私のメンタームの写真とそれほど大差ないのでは、などと思うのです。

さて、この目玉記事ではエッシャーを読みたかったのですが、電子版には掲載なし。あらら。

とはいえ、縄文土器と土偶に関する記事では新発見がありました。
縄文土器には蛇のシンボルが頻出していること、そしてそもそも縄文土器は調理器具(鍋)ではなく、女性の姿を表現しているということ。
それは思いつきませんでした。でも確かに鍋だと考えると、安定性に欠けていて使いづらいのは間違いなさそう。

それにしても、不死と再生の象徴が蛇というのは、キリスト教の教えと比較して考えるとものすごく興味深いですね。

次の項目は「名画を読む」ということで、「美女の肖像」「ヌード」「色と光」「自画像」についての考察です。こちらも実際に読めるのは半分程度でした。

ですが、取り上げられている作品について、それぞれのページに何の美術展で見られるか、開催期間を含めて記載してあるのが親切。

特別保存版●中野京子さんに大塚国際美術館で西洋名画の歴史を学ぶ

人気シリーズ『怖い絵』の著者が解説する、西洋美術の大まかな歴史記事。
ルネサンス以降の美術の流れが一目瞭然に理解できる歴史年表かつフローチャート的な構成が秀逸です。これはわかりやすい。
もうこれだけ覚えていれば、「西洋美術に関してはちょっと詳しいよ」って言えるんじゃないの? 無理?

「神話」「宗教」などのキーワードごとに、それぞれの様式の作品を並べることによって、作風にどれだけ違いがあるかを見比べる企画もいいですね。
美術展は「ひとつの美術館の代表的な所蔵作品を見られるタイプ」と「ひとりの芸術家の代表作を見られるタイプ」が多いと思うのですが、テーマごとの展覧会がもっと増えてほしいと思います。

以前、「デミタスコスモス」というカップ&ソーサーの展覧会に行きました。
見るものすべてがデミタスカップと受け皿でしたが、美しかったり可愛かったりと、どれにも個性があって、とてもよかったのをはっきりと覚えています。

美術館でも「鳥」とか「海」のように、ワンテーマのアンソロジー的な展示があるのなら、私は喜んで行きますね。仏像なら「薬師如来」オンリーとか。
あれ、もしかしてこれ、同人誌即売会的な発想…「テニスの王子様オンリー」では飽き足らず、「立海オンリー」でお願いします、的な…

まぁそれはさておいて、ここで紹介されている「大塚国際美術館」は世界の名画を原寸大の陶板に再現して展示しているとか。知りませんでした。これは面白そう。

かの有名なゴッホの『ヒマワリ』、シリーズ全7作を完全再現して一室に集めたなんて、目の付け所が違いますねぇ。
そして今号の特別付録が、この美術館とのスペシャルコラボで「ゴッホ幻の『ヒマワリ』万年筆」! うん… ちょっと欲しいな、正直。読めない記事も多いし、別冊付録の「裏読み!西洋絵画」も気になるし、いっそAmazonで…

その後は東京での開催は予定されていない美術展、ルドンやデュシャンなど個性派、真言密教の国宝の展示の紹介と、夏以降の「絶対見るべき美術館リスト」の掲載が続きます。

少しボリュームは足りないかな、と思いましたが、第2特集の「ウイスキーの美味しい飲み方入門」もさらっと読みました。最近、ウイスキーは人気上昇で品不足だと聞きましたが、一部の銘柄に限りということなんでしょうか。

私はアルコールを口にすると体が「これは毒だよ!」と反応するのを感じるほどの下戸ですが、お酒の記事を読んで美味しさを想像するのは大好きです。

『日経おとなのOFF』2018.7月号の感想

ストライクゾーンど真ん中の特集で大満足。一部、読みたい記事が未掲載なのが少々心残りですが、付録の万年筆も気になりますし、雑誌版の購入を検討します。

次号予告によると、特集は「古典&隠れ名著学び直し!」「目のアンチエイジング」。
文学だけでなく、社会システムや最新科学分野の名著も紹介されるようなのが嬉しい。目も大事にしたいので、間違いなく読みます。楽しみです。

2018.6.20配信開始//2018.8.21配信停止

 




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