ここのところ少しインパクトのある雑誌が続いたので、今回は安心できてノスタルジーに浸れるような雑誌を欲していました。
ですが、雑誌とは基本的に最新ニュースや新製品を取り扱うものですから、そんなニーズを満たしてくれるものはないはずです。
たとえば私が生まれる前から出版され続けている『きょうの料理』だって、梅干しの漬け方を掲載しない年などない(と思うの)ですが、去年と同じようで違うのが当たり前ですよね。
ただ、どうも「最新の話題!」「ニュース!」「新製品!」が続くと、私はちょっと疲れてしまうのです。
隔月誌とか季刊誌くらいがちょうどいいのかなぁ、と思いつつ新着雑誌のラインナップを見てみると、私のニーズをきっちりと満たしてくれる一冊を発見しました。
「40オヤジの昭和&平成ベストヒット文房具」を特集とする『HOT-DOG PRESS』です。素晴らしい!
私は文房具が大好き。ショッピングモールの文具売り場は必ずチェックしますし、雑貨屋さんでも文具コーナーは眺めてきます。
でもマニアというほどのめりこんではいない。以前はノート類をコレクションしていましたが、最近よく購入するのは、お気に入りのペンのリフィルばかりですしねぇ。ちょっとつまらないかも。ここで何か良さそうなモノを見つけられるといいな、とウキウキしてダウンロードしました。
『HOT-DOG PRESS』2018.9.20号目次
今回もシンプルです。
大特集●40オヤジの昭和&平成ベストヒット文房具
さらに「未来派文房具」として、これからのブレイクが期待される商品もピックアップされているのがいいですね。
文房具というのは、発売後何年もたってから爆発的に人気が出る可能性がある商品をもつジャンルだと思っています。少し話は逸れますが、お菓子などの食品もそんな感じ。ロングセラーが多かったり、熱心なファンがいたりするところも似ているんじゃないかな~と、かねがね感じていました。
『HOT-DOG PRESS』に戻ります。
まずは「Part.1 昭和レジェンド」から。
「Part.1 昭和レジェンド」
堂々トップを飾ったのは「トンボ鉛筆」の「8900」。
「8900」という名称を知らない人でも、一目見ればきっと解る。それがまさにコレ。
日本一のロングセラー鉛筆だそうです。さすがですねぇ。
12本入りで税別480円というお値段は今回初めて認識しましたが、多分間違いなくいい買い物でしょう。
そういえば昔、アメリカ製の鉛筆を使っていた時期があったのですが、どうも使い心地が悪かったことを記憶しています。芯の色と実際に描いたときの色が違ったり、書いていて紙に引っかかったりという地味なストレスがあったんですよね。日本のメーカーのものでは、そういった経験はないと思います。
ただ、日本のメーカーの製品でも海外産のものは、使っていて「ん?」と思ったり、壊れやすかったりといったことがあるのは事実だとも思います。
個体差もあるのでしょうが、そういうのに当たってしまうとがっかりですね。
さて、2番バッターも鉛筆でした。
三菱鉛筆のuni。こちらは今年発売60年を迎えたとのこと。こちらも見ればすぐにわかるベストセラーだと思います。
少しびっくりしたのが、1ダースで1080円(税別)という価格設定でした。トンボ鉛筆の8900に比べると倍以上するんですね。
それでも受け入れられて、ロングセラーなのですからそれだけの価値はあるというのが理解できます。
uniは、色がまた素敵なんですよね。上品なワインレッド系の。
この色合いは、海老茶とワインレッドを掛け合わせたuniだけのものだそうです。uniは、名前からして「ただひとつ」という究極を指向する存在でもあり、日本の高級鉛筆の代名詞ともいえるでしょう。
3番手はコクヨの「測量野帳」。本来、品名通り測量の現場で使われてきた手帳ですが、立ったままでも筆記しやすい丈夫さや、スーツの内ポケットにぴったりなサイズなどが評判を呼び、幅広い層に人気を博しています。昭和34年発売。
ひとつひとつの商品紹介ページに、その発売年とその年の主な出来事が記載されているのがまたいいです。
昭和34年は伊勢湾台風が上陸した年でもありました。今年も台風の被害が甚大ですが、もしかすると今年発売になった文具がずっと先のいつか、こんな風に雑誌で取り上げられるかもしれないな、などとふと考えました。
天災があってもみんなで頑張って乗り越えて、ベストセラーをロングセラーとして繋いでいく。それが可能なのが日本のいいところだと思います。
測量野帳には耐水表紙仕様の新しいタイプも開発されたとのことです。ロングセラーになるには進化していくことも大切なんですね。
さて、ロングセラーアイテムの中では万年筆もいくつかピックアップされていました。
さすがにお値段的には10000円以上の高価なものが多いのですが、その中でとても興味を惹かれたのがパイロットの万年筆で「キャップレスシリーズ」でした。
見た目はまさにノック式のボールペン。なのに万年筆。
この世界初の仕様が、昭和38年には世に出ていたこと、そして売れ続けてきたことに単純にびっくりしました。
いいなぁ、ちょっと欲しいです。
同じく万年筆で、プラチナ万年筆の「#3776万年筆」の美しい見た目にも惚れました。あー、美しいわ、コレ。
名前の由来は富士山の標高にして、〝理想の万年筆〟として日本を代表するものとなるべく製作されたというアイテムです。
「軸は太くあるべし、ペン先は大きくあるべし。愛蔵に耐え、手にフィットするものでなければならない」というこだわりを満たすものとなっているそうですが、いや、単純に美しいです。
美しいはいついかなる時も正義。
平成23年に「#3776センチュリー」としてフルモデルチェンジされた由。発売100周年まで、ずっと美しさを保っていただきたいものです。
普段使いの名品の中では、スクラップブック、ハイマッキーやポスカ、クーピーペンシルなどが続々と名を連ねています。大人になってからも、しょっちゅう使うものばかり。
紹介されていたものは、どれもレジェンドにふさわしいと感じました。
「Part.2 平成スーパーセレクト」
Part.2は「平成スーパーセレクト」というタイトルで、文具メーカーさんのアンケートとHOT-DOG PRESS編集部によってピックアップされた各種文具が紹介されています。
扉の文を読んではっとしたのですが、そういえば平成ももう半年ほどで終わってしまうのですね。
思ったよりも長かった…ような、やっぱり短かったような。少し複雑な気持ちです。
さて、30年の間に出た文具の中で、ヒットを飛ばしたのはどんなアイテムでしょうか。知っているものは…ありましたありました。知っているどころか、実際に使用しているものがたくさん!
- サラサクリップ(ゼブラ/平成15年)
- ドットライナーシリーズ(コクヨ/平成17年)
- ハイテックCコレト(パイロット/平成17年)
- フリクションボール(パイロット/平成19年)
- クルトガシリーズ(三菱鉛筆/平成20年)
- デコラッシュ(プラス/平成23年)
- フィットカットカーブ(プラス/平成24年)
- デルガード(ゼブラ/平成26年)
- モノグラフ(トンボ鉛筆/平成26年)
これだけ持っていたら、文具好きと名乗っても大丈夫なような気がしてきました。
個人的には、フリクションボールとクルトガはもう少し進化する余地があると思うのですが、サラサクリップとハイテックCコレトは書き心地とカラーバリエーションにすっかり満足しています。
それから、正直に言いますとデルガードとモノグラフについてはそれ自体の機能というよりは、私の愛するキャラクターであるサンリオのシナモロールとのコラボレーションモデルにつられて購入したところが大きいです、ハイ。
クルトガもシナモロールヴァージョンを愛用中ですし…ハイテックCと同じコンセプトのぺんてるアイプラスもシナモンモデルを持ってますね。
あ、でもこういう層もいるので、コラボモデルはどんどん出して然るべきだと思います。
話が逸れましたが、持ってはいないものの、シャープペンシルのような形態の消しゴム・モノゼロ(トンボ鉛筆/平成19年)、たくさんの立方体が連なった感じの消しゴムカドケシ(コクヨ/平成15年)など、見たことがある商品も載っていました。
この辺りは次の世代でも販売が続いていきそうに感じます。
気になったのは平成29年発売のサクラクレパスの「サクラクラフトラボ001」。レトロっぽいデザインのペンで、黒インキに5種類のバリエーションを持たせているというこだわりっぷり。凄いです。
そして同「002」はクーピーペンシルをデザインのモチーフに採用した、シンプルながら美しい形状のボールペン。軸色は10色あるそうです。
どちらも素材に真鍮とアクリルを使用しており、ワンランク上の実用品と言った仕上がりになっています。「002」のシンプルなダークブラウンの色味、非常に好みです。
ただ、ペンは替え芯が手に入りやすいかどうかも重視しているので、今はサラサが一番かなぁ…
「Part.3 未来派文房具」
未来を感じさせる文具、という少し曖昧な基準で選ばれたような印象のアイテムが並ぶコーナーです。
ただ、筆圧を調整するボールペン、書く人の文字に合わせてペン先が変化するボールペンなど、「文具が使う人に合わせていく」傾向はうかがえました。
そのほか、カラフルなものが多くなっている感じがします。ゲルインクボールペンよりもなめらかな書き心地を謳うセーラー万年筆のICリキッドも、8色のカラーバリエーションがあるそうですし。以前はせいぜい、赤、黒、青の3色だったでしょうから、オレンジやイエローグリーンが普通にあることに少々戸惑いを覚えます。
その一方で、次の元号に変わっても使い続けられるであろう文房具として紹介されていたのがサクラクレパスです。
私が持っていたものと箱の絵柄までもが同じことが確認できたりして、いいものは変わらないのかな、変える必要がないのかなという思いもひとしおでした。
現在、発売当初の「櫻商會」名義のパッケージを使った「復刻版」も発売されているそうです。クレパスは大正時代からあって、しかも冬用と夏用の区別があったという豆知識、しっかりと頭に入れました。面白いなぁ、もう。
『HOT-DOG PRESS』2018.9.20号(No.197)感想とまとめ
人にもモノにも歴史がありますね。
文房具のような、自分がしょっちゅう使っていたものを時を経て再び目にすると、しみじみ懐かしく思います。
やはり、一番多く文房具を使っていたのは学生時代だということもありますし、読みながら一種のタイムトラベルのような感覚も覚えました。
それでいて、新しいことも知ることができましたし、楽しかったです。
最近少し疲れ気味だったせいもありまして、あまり難しくない内容なのもよかった…今の私にはぴったりな雑誌、特集でした。
次号の特集は「レザーシューズは大人の嗜好品」。いいですね、マニア好みで。
なんでも好み、嗜好品を突き詰めていく姿勢は大好きです。
2018.9.28配信開始//2018.12.27配信停止
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