専門雑誌についてはあまり把握していないことが多いので、『趣味の文具箱』の存在は知りませんでした。
ただ、楽天マガジンに申し込むかどうか検討した際、取扱い雑誌の一覧を眺めて気になった内の一冊です。
楽天マガジンの「趣味・娯楽」カテゴリには、主だったカテゴリに入りきらないたくさんの雑誌がラインナップされています。
多いのは車・バイク、映画にDVD、競馬とパチンコ、そして釣りに園芸、テレビ情報誌やゲーム誌とアニメ・声優誌といったところでしょうか。
その中でも少し経路が違うのが『趣味の文具箱』、『将棋世界』、『ムー』、『ENGLISH JOURNAL』だと思われます。(『WATCHNAVI』はガジェットカテゴリの方がいいような気もします。)
このカテゴリに属する雑誌は、園芸関係、ゲーム誌とアニメ誌の一部を除いてはまったく読もうと思ったことすらない専門誌なので、表紙を見ても言わんとすることが何かすらわかりません。
『RETRIEVER』を見て、「レトとアウトドア楽しんでますか?」という特集内容を目にしても「…は?…え?」と一瞬理解が追いつかないのです。
〝RETRIEVER〟は(ゴールデン)レトリバー、人気の犬種であることを表紙のワンちゃんで思い出し、そこから〝犬と一緒に野山に出掛けよう〟という意図を汲み取るまでに若干ラグが発生するといいますか。
そしてそれを読み取ってからも、「なぜにレトリバーオンリー?」と余計な疑問が湧き上がりまして、これはおそらく世の中には他にも「コーギー」とか「シェットランドシープドッグ」とか「柴犬」の専門誌が存在するに違いないが、楽天マガジンに登録されているのは「レトリバー」オンリーなのであろう、という推論で納得するまで余計なことを考える始末でした。
しかしなぜレトリバーだけ…… まぁ蒸し返すのはやめましょう。
けれども、そんな中、一冊だけ「これは!?ぜひ読みたい!」と思ったのが
『趣味の文具箱』でした。
いいですね、文房具。個人的に、大好きです。その道のオタク(≒専門家)にはかないませんが、デパートやショッピングモールなどでのんびり買い物ができる機会があれば、必ず文具売り場には足を向けますから。
と、いうわけで、早速ダウンロードしてみました。
『趣味の文具箱』vol.46 目次
過去最高のボリューム。素晴らしいですね。専門誌は情報を出し惜しみしてはいけません。
特集●万年筆使いの流儀
硬派な雰囲気のタイトルです。そもそも手書きでものを書くということが減っている昨今、わざわざ万年筆で何かを書こうという人はビシッと自分のスタイルというか、筋を持っている人ではないかと感じます。それがつまり、硬派ではないかと。
ですが、そんな人たちの愛読誌についていけるかどうか、ちょっと自信がありません。愛好家、オタクにとって必要なのは対象に向ける熱量(情熱)と知識(うんちく)です。
そして、その分野におけるレベル的なものを決めるのは、基本的に熱量と知識の乗算(さらに経験によってボーナスポイントが乗っかる)と考えていますので、熱量も知識もレベル1くらいの私だと、「ドラクエ」でいうなればスライムにも負ける可能性が、ってそれはどうでもいいですね。
万年筆を知るための冒険に出掛けましょう。
冒頭の説明を読んだところ、万年筆とは非常に個人的な道具であり、ゆえに使い手によってそれぞれの使い方、流儀が生まれることがわかりました。
万年筆を心地よく使い続けるためのいわば、「万年筆道」的なものがあるわけですね。
修理や調整を手掛けるプロの意見や、日頃から万年筆を愛用するユーザーの意見の集大成的な特集のようです。
この説明が置かれたページの写真がまた、万年筆のペン先に先端の平たい工具を縦向きに差し込むことでインクの出を調整しているシーンという、普段の生活ではあまり…… ほとんど見かけないような絵面です。
それにしても、ペン先の金色と彫刻がまたきれいなこと。わずかに飛び散ったネイビーのインクもいい。万年筆はフォトジェニックですねぇ。
と、次のページからは意外にも
- 選ぶ
- 筆圧測定
- とにかく使う
- インクを入れる(インクの入れ方も解説あり)
- 洗浄(ブランド別解説あり)
- 日頃の扱い
と初心者にもやさしい、といいますか、むしろ初心者向けとも思える丁寧な解説が続きます。これはいい。
その次に掲載されているのは、万年筆の調整のプロたちとその道具の紹介。あー、職人ですわ、これまさに。
そして「ペン先調整のリアル」として、日頃受ける依頼や、実際に行う対処方法の説明。
さらに万年筆ユーザーの、「自分はこう使っている」という意見の数々が掲載されたページに続きます。
これがまた愛好家(オタク)ならではの愛情とこだわりが感じられる意見ばかり。ものすごく親近感を覚えます。私も(気質が)オタクですからねぇ。
と、いうわけで、予想以上に楽しく読みました。
私も母から譲られた万年筆を持っていたはずですが、文字が太い書き上がりになるのが好みではなく、どこかにしまい込んだままです。
自分好みの万年筆を一本、探してみようかな。
特集は以上で終わりでしたが、その他の記事も主に万年筆の話題です。
「ヴィンテージの誘惑 、木軸礼賛」
「インクパラダイス」
などなど。
その他の話題としては
「高級筆記具ジャンルの新製品」
「作家で選ぶ 新進ガラスペンの世界」
「台湾ブランドのステーショナリー」
「水彩鉛筆の世界」
連載記事も、二本ほど旅行にまつわるもの以外はすべて筆記具関連です。
そう、筆記具ですね。
シールやマスキングテープ、定規や付箋の話題はほぼ目にしませんでした。
その印象は、バックナンバーの紹介ページを目にしたとき確固たるものになったのです。
表紙(特集)をランダムにピックアップすると
- 「美しいペンが欲しい!」
- 「ペンの道楽 人生の悦楽」
- 「万年筆で書きたい」
- 「インク沼へようこそ」
- 「極上ステーショナリー」
- 「文具を贈る」
あー…そもそも『趣味の文具箱』に入っているものは、主に万年筆とペンとインク、そしてたまに紙、ということのようです。
シールとかスタンプは、また別のカテゴリーなんでしょうか。
それとも、おそらく読者層的に男性が多いと推察されるので、万年筆を筆頭とする筆記具がメインストリームとなるのでしょうか。
うーむ。また面白い気付きがありました。
個人的には封蝋・シーリングワックスなども取り上げてみてほしいところです。いっぱい持ってるのよね、シーリングワックス。実は。
『趣味の文具箱』vol.46の感想とまとめ
実に面白く、そして勉強になりました。ほぼ全ページ読めた(と思う)ところにも非常に好感度高し。
万年筆は一本、お気に入りのものが欲しいです。ただ、私が一番書くのはスケジュール帳に記す日記で、スペースの関係上、細い文字でなければ辛いこと、予定を書き込む時に何色かの色分けをすることから、万年筆の出番は少ないかな……
おとなしくハイテックCコレトを使っていた方がいいかもしれません。
でも万年筆の美しさは格別ですからねぇ。持ち物は美しいものにすべき、と常々思っている私としては、実に心が揺れるのを感じます。
そして、特筆すべきなのが、読者のお便り掲載ページに非常に力が入っていることです。
同じものが好きな人の集まりって、熱を帯びるんですよね。しかもジャンルが絞られれば絞られるほど、エネルギーは凝縮されるというか。
雑誌でも同じだなと思いました。
さて、次号の予告によると、特集は「〝インク沼〟へダイブせよ」
日本メーカーのカラーインクが、海外のユーザーさんたちにとてもいい評価をもらっているという話題を聞いたことがあります。人気だそうですね。
しかし、この沼…… ダイブしたら底がないのに気づくというパターンでは?
多分、いえ、きっとそう。
とはいえ、配信されたら間違いなくまた読みます。
2018.6.8配信開始//2019.6.7配信停止
一年間、余裕で読み返せるのも素晴らしい。
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